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声優・歌手の水樹奈々さんが大好き(S.C.NANA NET会員)/声優の八代拓さんを応援しています

Voice Box 2023朗読「かもめ」 感想

2023年10月15日(日)J:COM八王子ホールにて開催。
Voice Box 2023 朗読「かもめ」~くすぶるな恋、燃え上がれ!~ 
原作:アントン・チェーホフ
脚本・演出:斎藤栄作
出演:小野大輔、佐藤拓也、羽多野渉、豊永利行、林勇、八代拓(敬称略)
(昼公演、夜公演で配役が異なる)

朗読かもめ、夜公演の公演リーフレット

◆公演概要
ある男(小野さん)が何か大きなヤバい事件に関わった後、逃げ込んだのは実家だったブティック『かもめ』。母親の死に目にも会わなかった自分を自嘲し、今会いに行くから……とその手に持った拳銃で最期を遂げようとしたその時、天国から降りてきた母(昼:佐藤さん、夜:林さん)が、天国の朗読研究会のメンバー(他出演者)を引き連れて朗々と「かもめが翔んだ日」を歌うところから物語はスタート。
ある男と母親の物語を縦軸に、「かもめ」の朗読を交えて物語は進行。「かもめ」の主人公であるトレープレフは最終的にある選択をしますが、ある男はこれからをどう選択するのか……。



感想だけ見たい人はここを押してください。

◆観劇準備とか

ロシア芸術にも外国文学にも詳しくない私でさえ聞いたことのあるチェーホフという名前にびっくり。副題がポップな感じなのでどんな話なのかな~とめちゃくちゃ軽く考えて楽しみにしていました。

10月8日(日)の試験が終わったのでようやく他のことに手が回るぞ! とさっそくいつも使っている電子書籍サービスで訳本を購入して読み始めたものの、まずロシア系の名前がひとつも覚えられない。ページをめくっては「この人誰? どれ?」となって本の最初の登場人物紹介ページに戻って、把握して読み進めてまたページをめくっては登場人物紹介を……と、電子でやるにはめんどくさすぎた。

しかも作品自体は1895年に完成しているもので、有名な訳本は岩波文庫の浦雅春訳『かもめ』 で2010年の刊行本。10年前だと多少は通俗表現が違うかも……と思い、2022年刊行の内田健介訳『かもめ 近代古典劇翻訳〈注釈付〉シリーズ』(論創社)を実書籍として購入しました。漫画と雑誌以外で物理書籍買うの久しぶりだった。

(※X(旧Twitter)にて、私の読了記録ポストを内田先生に確認されたりしていました。他の訳本まで目を通したわけではないのですが、少なくとも私にはとても助かりましたし現代的な言い回しで読みやすく、面白かったです。重ね重ね御礼申し上げます。)

当日、お昼過ぎに合流した小野さんファンの友人と二人で「こんなにポップな副題のつく話じゃなくない……?」とどよどよ。自分の推しがニーナ役だったらどうする? みたいな話をした気がします。お互い「うわ」からの「でもかわいいからな~~」に落ち着く気がする。

◆公演感想


昼・夜の2公演で出演者は共通なものの、小野さん以外の配役が異なるため、「同じ役を別の人が演じるとこんなに違うんだ」を目の当たりにしました。

特にヒロインのニーナ。昼公演の豊永さんが演じたニーナは「かわいいけどめちゃくちゃ嫌な女」、夜公演の羽多野さんが演じたニーナは「めちゃくちゃ嫌なことをするけどかわいい女」と、役者の色がよく出ていたなぁと思います。羽多野さん、悪役やらせてもなんかいい人なんですよね……本人がマジで田舎育ちの優しいお坊ちゃんなので……。

八代さんは昼公演では
・トレープレフへ片思いしている女性、マーシャ
・渋い中年男性医師、ドールン
の二役。八代さんの女性役はご自身がパーソナリティを務めるラジオ「Good Things」内の一人声劇でたびたび聞けるのですが、毎回なんか分かんねえけどかわいい……つんとした態度もかわいいね……という気持ちになります。かわいい。これで女の子だったら本当に完璧。なんで男なんだろう。いや魅力的な男性だからファンになったんですけど。

ドールンのほうは簡単に言うとモテる渋い男性。人妻と不倫関係なんですけど、まあモテるのは分かる、実際渋くてかっこいい、でもすっごいなんか……分かるけど嫌だわこの人……。

同じく夜公演では
・トレープレフの伯父、ソーリン
・ドールンと不倫関係にある女性、ポリーナ
の二役でした。ソーリンはドールンよりももう少し年嵩の、おじいちゃんくらいの感じの人物なのですが、無理して作った低音ではなく本当にこういうおじいちゃんいるよな……みたいなおじいちゃん芝居。ポリーナはマーシャと違って癖が強めなおばちゃんって感じでした。

昼公演アフタートークで役名を中途半端に噛み(「ドーリン、……?」)、どうしたんだろ~と思っていたら夜公演が思いっきりソーリンだったという。ネタバレじゃん!

夜公演アフタートークでは、作中でポリーナがドールンへキスを迫るシーンについて、「夜公演でドールンを演じた豊永さんの「しーっ!(静かにしろ)」みたいなのがチュッ(キスの音)に聞こえたのでワンチャンいけるかと思った」というトークを展開して会場の笑いを誘っていました。キャスト陣は「そんなことないよ!」って空気だったのですが、公演を観た私も友人も「あれキス音じゃなかった? ワンチャンいけちゃってたよね?」という感想会をしたのを覚えています。いや絶対あれイケてたって。

昼アフタートークで、小野さんが八代さんのことを「一緒に芝居をしてみたかった。どれが地声なのか分からない役幅が魅力。少し自分と似た匂いを感じる」とお話しされていたのが印象的でした。

私は八代さんのファンになる前に羽多野渉さんのファンをやっていたのですが、当時、羽多野さんと小野さんはお互いのことを「少し似ている」「同じポジションを争いあっている」という評価をしている関係なんですね。どちらも名バイプレイヤーで、公演中のアドリブにもありましたが同じ作品の番組レギュラーだったことも多い小野さんと羽多野さん。
※名前のないキャラクター全般を演じるために作品ごとに新人~若手が固定で出演するのを番組レギュラー、番レギと呼ぶそうです。

2017年以来、八代さんのファンになって活動を追っているのですが、なんというか活動を華やかにした羽多野さんみたいだな、と思うことがたびたびあるのです。どちらも自分が主役という機会が少なく、クレジット2番手・3番手でサポートする役割が多いんですね。
(※活動を華やかにした……というのは八代さんにこれまで二次元アイドルコンテンツへの出演が多かったからなのですが、これはそもそも、羽多野さんの新人時代には、男性の二次元アイドルコンテンツが少なかったことが原因です。なんせ羽多野さんは今を時めくアイナナの出演者ですからね)

なので、八代さんと似ている羽多野さん→羽多野さんと似ている小野さん→小野さんと似ている八代さん、というのはそれはもう、言われてみれば当然の話。
「そっかぁ!」と妙にしっくりきました。お二人みたいに、息の長い役者として活動し続けてもらえたらうれしいです。
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